えんぴつ画サバイバル

えんぴつと紙を持ってヨーロッパに行き、まるでえんぴつ界のわらしべ長者のように生きていくという、神戸大学1回生によるチャレンジの軌跡を記しています。

サバイバル9日目の裏話

バイバル9日目、例の素敵なコーヒー屋さんからホステルに帰る道で、道路に座っていたホームレスの方と話す。帰り道だけで20人以上はいて、彼らのほとんどは一日中何もしていないと思われる。今日はそのうちの一人とだけ話した。女性。

名前を聞いて、年齢も聞いてみる。30歳。すごく汚れている。いつから家が無いのか聞くと、2年前から。

日本のほとんどの人が、家が無いなんてことは1日として無かっただろう。僕自身、イギリスで初めて野宿するまでそうだったし、しかもそれはホステルなどをとろうと思えばとれるという保険がある上での甘い野宿だった。

彼女は2年間、道のゴミ箱の前に座り込んで生きてきた。硬貨を入れてもらう箱と、自分の汚れた姿だけを頼りにして。

2年前に何があったのかを聞いた途端、口を閉ざす。わからないと言う。涙を流すこともない。もうとっくに泣き尽くしたようにも見える。目が辛い過去を語るようだった。

僕は何も言えず、Good luckとだけ言って、£1硬貨を箱に入れて、その場を去った。

さっき入れた£1は、今は食費かタバコ代にでもなって、もう無くなっているだろう。彼らは完全にその日暮し。では、もし「2年間」という尋常ではない長さも含めて惨めなのだとしたら、僕はさっき、彼女を更に惨めにしたことになる。

彼らをどう救えばよい?
あなたなら、彼らをどう救う?
あるいは、彼らは一生そのままで問題無い?
それとも、あなたには関係ない?