えんぴつ画サバイバル

えんぴつと紙を持ってヨーロッパに行き、まるでえんぴつ界のわらしべ長者のように生きていくという、神戸大学1回生によるチャレンジの軌跡を記しています。

信じてきたえんぴつ画。サバイバル24日目

えんぴつ画サバイバル24日目。

フィレンツェに来て以来、雨がかなり続いてきた。でも今朝は晴れている。よし、行こう。

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フィレンツェでやりたかったことは、えんぴつ画サバイバーにしか描けないえんぴつ画を描くこと。そして、それでもなお、サバイブすること。

ロンドンでは確かに稼いだ。でもその時は、僕の描きたい絵を描いたわけではなかった。描いたのは、みんなを驚かせる絵。広くみんなに受けそうな絵。そういう絵を描かないと人々には伝わらない気がしていた。

でも僕は同時に、そんなことでは、えんぴつ画サバイバルは終われない、とも思っていた。僕が描きたい「えんぴつ画」というのは、僕にしか描けない、誰かの心に何かを突き刺すような絵。

さて、朝から腹を空かした状態で、軽くホステルで描き進める。その後、ホステルの近くにあるスーパーで買った、サバイバーの大好物であるネクタリンを食べながら中心地に向かう。

まずは、場所が大事。フィレンツェでは、パブリック広場というところの近くに、3人のアーティストが、地面に絵を描けるスペースがある。それは、「マドンナーロ」と呼ばれていて、そこで許可をとって、画家の卵が交代しながら描いているらしい。その隣でやろう。

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よし、やるぞ。今日はためらわない。グズグズしてられないから、着いたらすぐに段ボールを敷いた。

すると、許可をとってやっている人から、そこは許可が要るからダメだと言われた。そうか、やっぱり要るんだ。でも20メートルくらい離れた場所なら良いらしい。なんじゃそりゃ。笑

というわけで、12時頃から開始!!!

最初の5分はやっぱり、怖いような、逃げたくなるような、そんな感じの絶妙な緊張状態。でも、次第に楽に描けるように。

すると、人が少しずつ立ち止まってくれるように。

初めてコインを遠くから、投げ入れてくれる人が現れた。よしっ!!こっそりガッツポーズ。笑

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最初の30分で、€2.50頂いた!そこで、大雨が降り出したので一旦雨宿り。片付けをしながら、大きな一歩を踏み出したと確信した。

雨宿りのためにマクドに侵入。残りのネクタリンと、高いポテトではなく、買っておいた安いポテチ(約40円)を食べて休憩。

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だいぶ待つと、晴れてきた。よし、もう一回。

やっと、いつも通りに描けるようになった。一人で描いてるときと比べるともちろんペースは遅くなるけど、それでも描き続ける!僕が胸を張って描けるようになると、立ち止まってくれる人も増えた気がした。

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ふと空を見上げた瞬間に、涙を流してしまった。この漠然と憧れたフィレンツェの空の下で、今、自分のえんぴつ画を本気で描いている。そしてそれが、人々に伝わっている。

僕はえんぴつ画が本当に好きだった。えんぴつ画からしばらく離れたこともあったし、自分の空想画に自信を失くしたときもあったけど、それでもえんぴつ画アーティストである自分を信じてきた。信じてきたことは正しかったと確信した。

さらに1時間半描いて、また雨が降り出したので、終了。
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合計2時間やって、€12.30(約1400円)稼いだ。コインをすべてポケットに入れて、帰る準備。

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ふと見ると、また昨日の彼女らが来てくれていた。そういえば、今日はずっとここでストリートえんぴつ画をやると伝えていた。だから来てくれた。驚き。

どうだった?って聞かれたから、ポケットから小銭を掴んで見せた。ものすごい喜んでおめでとうって言ってくれた。

「こうきの夢が叶ったね!」って。

うん。

そのあと、せっかくイタリアに来たので、えんぴつ画サバイバーにはちょっと値が張るパスタを食べることに!

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すごく美味しかった!!めっちゃ腹減ってたし!笑

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稼いだお金で払おうとしたんだけど、私は年上だし何よりお祝いしたいって言ってくれて、またおごってもらうことになりました。昨日に引き続き、本当にありがとうございます。

最高の一日でした。